テントの寿命は何年？加水分解の年数・買い替えのタイミング・経年劣化について解説

「テントって何年使えるんだろう」と気になっている方も多いですよね。実際にテントの商品ページには「○年使用できます。」と記載されてあるわけではないので、疑問に思う方もいると思います。いずれにせよ、お気に入りのテントを手に入れたら長く使えるようにしたいですよね。

一見テントは頑丈に作られているイメージがありますが、実は紫外線・カビ・水分などにデリケートで経年劣化がしやすいんです。しっかり水分を取り除かないと、加水分解が進み寿命が短くなってしまいます。しかしテント生地の劣化を防ぐ方法がわからず、困っている方もいますよね。

そこで今回は、紫外線や水との化学反応によるテントの劣化要因を紹介します。また、加水分解を防ぐおすすめの方法・買い替えのタイミングや寿命の年数・最強の耐久性を持つコットン・TCテントも解説するので最後までご覧ください。

テントの生地自体は頑丈なものの、一般的に使われているポリウレタンコーティングは、時間が経つと自然に加水分解していきます。そのため、何もしなくても5～10年ほど経過すると、テントの幕がボロボロになり、寿命を迎える場合がほとんどです。

ポリウレタンは紫外線にも弱いので、屋外で使用した回数が多いと、更に劣化が早まります。キャンプのギアによって寿命が異なりますが、20～60回で壊れ始めるので、40回使用したら買い替えるようにしましょう。

ポリエステルとポリウレタンの違いは、どちらも化学物質を混合させて作られた合成繊維としては同じです。しかしポリエステルに比べポリウレタンは日光や熱に弱く、耐水性も低いため加水分解しやすく劣化も早い性質があります。

一方でポリエステルは耐久性が高く耐水性にも優れた素材です。ただし使用年数・回数が多ければもちろん加水分解してしまいます。実は両者の寿命は一般的に4年前後と同じです。劣化の違いはポリエステルは生地のヘタリによるもので、ポリウレタンは加水分解が原因といえます。

ポリウレタンは紫外線によって変質し、黄色く変色して脆くなりますが、屋外で使われるので紫外線を避ける方法は存在しません。テントを繰り返し利用する方は、紫外線に強い、フッ素・シリコンコーティングが行われた製品を選びましょう。

カビが発生すると、生地が変色するだけでなく、加水分解が促進されるので劣化が早まります。漂白剤を使って除菌した上で、天日干しをしっかり行い、テントの生地にカビを生やさないようにしましょう。

加水分解とは、名前通り水が加わると分解が起きるので、雨水によってもポリウレタンと化学反応が生じて劣化します。濡れたテントを放置すると、カビが発生して更に加水分解が促進されるため、使用後は水分をしっかり除去しましょう。

高温多湿な場所に置きっぱなしにしても、テントの生地が劣化してベタベタになる場合があります。洗濯・乾燥を行った後は、収納袋に乾燥剤を入れた上で、湿気が少なく風通しのいい場所に置きましょう。

テントの生地についた水分を拭き取ってから、乾いた場所にしまえば、使用後の加水分解の軽減が可能です。ただし、付着する水の量が多いので、工夫して水分を拭き取る必要があります。テントについた水の取り方の手順を解説するので、ぜひ参考にしてみてください。

テントに付いた水の拭き取り方

1. モップやワイパーを使って水滴を取り除く
2. セームタオルを利用して水分を拭き取る
3. 設営した状態で天日干しを行いテントを乾かす（現地で乾かせない場合は自宅で干す）

テントは1回折り畳んでしまうと、生地の防水性が高いので、大型乾燥機を使っても水分を取りづらくなります。自宅でテントを広げるのが困難な場合は、テントメーカーの乾燥・保管サービスを活用しましょう。

個人の手では、濡れたテントを完全に脱水するのが難しいため、テントに匂いやカビが付いてしまう場合があります。テントにカビが発生してしまった場合は、専門のクリーニング店を活用して、テントのメンテナンスを行いましょう。

テントのメンテナンスをしっかり行っても、加水分解してコーティングがボロボロになります。テントの見た目をよくするだけなら、重曹を使ってコーティングを落とせば大丈夫です。

コーティングを復活させたい場合は、ポロンTをテント全体に塗れば撥水加工を行えます。ただし、有機溶剤が含まれているので、身体に重大な悪影響を及ぼす危険性があります。ポロンTを使用する際は、手袋・マスク・保護メガネを着用しましょう。

コットンやポリコットン（TC）テントは、ポリウレタンコーティングが行われていないので、加水分解が生じにくい素材となっています。紫外線にも強いため、コーティング素材が使われているテントに比べて、寿命が長いのがメリットです。

しかし、ポリエステルやナイロン素材に比べて防水性が低く、吸水性も高いので、濡れるとカビが発生しやすいのが欠点。コットン素材が使われているテントが濡れてしまった場合は、しっかり乾燥を行いましょう。

商品に丸洗い可能と記載があるテントは、洗濯可能です。最近では手軽に洗えるテントが増えているため、気になる方はチェックしてみてください。頻度は年に1回がおすすめです。シーズンオフに洗って保管しておくと、清潔に保てます。

ポリウレタンコーティングが行われているテントは、紫外線や水分によって徐々に劣化しますが、しっかり取り扱えば寿命を延ばせます。メンテナンス方法をしっかり理解して、太陽光や雨水による加水分解からテントを守りましょう。